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Posted by 京つう運営事務局 at

2011年09月17日

室町新町の間

「基礎講座 四.公称表示 ③様々なバリエーション」でご紹介しました”の間”ですが、仁丹町名表示板でも過去に存在していたことが分かりました。



ご覧のとおりです。

室町通と新町通の間の通りという意味ですが、なるほど地図を見てみると納得です。
上京区で馴染みのある表現ですが、下京区でも使われていたのですね。

ところで、仁丹の表示はご丁寧に室町通と新町通が並列に、しかも東西の位置関係まで合致するように描かれています。なんと分かりやすいことでしょう。

このレアな表示板、どこかに保管されていたらいいですね。

  

Posted by 京都仁丹樂會 at 20:44Comments(2)公称表示

2011年08月15日

公称表示は明治22年4月1日から


さて、このような通り名を使った住所表示と言うのはいつからあるのでしょうか?
そのルーツは条坊制の平安京にまで遡るのでしょうが、様々な通り名が付けられたのは戦国時代なのだそうです。

その後、新たな通りが次々に誕生し、同じ通りでもエリアによって呼び名が違うなど、歴史や生活に密着しながら長い長い歳月をかけて名称は様々に変貌を繰り返しつつ、現在に至っているようです。

今現在でも新たな通り名が誕生していますから、この流れは今も生きていると言えるでしょう。

ところで、このような通り名の組み合わせによる公称表示が正式に定められたのは、どうやら明治22年4月1日からのようです。
次のような告示がありました。

明治22年3月28日京都府告示第24号 「諸官庁へ差出す書面の記載方」

京都市街人民並に各郡町村の内、今般数町村を合併せし町村人民より府庁其他諸官庁へ差出す書面の住所記載方の義は、来る4月1日より左の書式に依るへし
京都市何区何通何小路何町上ル下ル又は東入西入何町何番戸
何郡何町村字何何番戸

                           ~ 一部省略 ~


昔の文書なのでいささか分かり難い部分もあるのですが、要するに京都府が府下の市町村やその住民に対して住所表示の統一を指示したものであり、ここにしっかりと京都市中においては通り名を用いた住所表示にも言及しています。

この通達によって戸籍簿や登記簿の住所表示の方法が定められたとありますので、現行の住所表示は明治22年4月1日から正式にスタートしたものと考えてよさそうです。

公称ですから複数の名称、読み方がある場合、“どちらでも良い”と言うわけにはいきません。
役所が強制的にいずれかに決めてしまうことになります。

でも、今使われている公称の住所表示を見ていると、通り名やその組み合わせの部分については、地元で使われて定着しているものを最大限認めているように思えます。

現実に私たちが転入届などをするときは通り名の組み合わせはその町名で認められている範囲内で自由に選ぶことができるという点では、他都市では見られない“選択の余地”があるということになります。

以上をもちまして、京都の中心区における公称の住所表示についての説明を終わらせていただきます。  


Posted by 京都仁丹樂會 at 06:00Comments(0)公称表示

2011年08月14日

様々なバリエーション


前回の基礎講座では、中心区の住所の公称表示は次の公式によることを説明しました。

公式
京都市 + <行政区名> + <通り名1> + <通り名2> + <方向>
                  + <オプション> + <町名> + <地番>

しかしながら、随所にいささかイレギュラーな表現が入ることもあるのです。
今回はそれらを紹介させていただきます。

御前通
公式で言うところの<通り名2>では“通”なる文字を付けないと説明しましたが、「御前通」だけは例外で、<通り名1><通り名2>どちらの位置にあっても“通”を付けて「御前通」なのです。
京都市上京区 今小路通 御前通 東入 真盛町
京都市上京区 仁和寺街道 御前通 西入 下横町
なぜなのか今のところ理由が分かっていません。
でも、仁丹町名表示板もこのルールをひたすら守っています。


ちなみに、御前通以外にもこのような例が仁丹では確認されているのですが、当時の公称に従っているのか、それとも書き手のミスなのか今後の調査によることになるでしょう。


京都の町を南北に貫くのは何も道路だけではありません。川もです。
加茂川や白川などが通り名と同じように使われている公称表示もあります。
ただし、「加茂川筋」とか「白川筋」と“通”ではなく“筋”なる漢字が使われており、<通り名1>でも<通り名2>でも“筋”なる文字は省かれることはありません。
京都市下京区 上ノ口通 加茂川筋 西入 菊屋町
京都市東山区 白川筋 三条 下る 2丁目 唐戸鼻町

の間
無名の通りを表現する工夫も見られます。
京都市上京区 室町新町の間 一条下る 一松町
京都市中京区 新町西洞院の間 四条上る 郭巨山町
前者の“室町新町の間”とは室町通と新町通の間にある、それらと並行した無名の通りという意味です。
同様に、後者の“新町西洞院の間”は新町通と西洞院通の間にある通りのことです。
ただ、前者の“室町新町の間”は衣棚通という名称がいつからか付けられており、実は
京都市上京区 衣棚通 一条下る 一松町
なる表現も存在しているのです。
「京都市上京区室町新町の間一条下る一松町」と「京都市上京区衣棚通一条下る一松町」が同じ場所を指しているとは、京都の人でないとなかなか理解し難いでしょうね。


有名な通りに並行する無名の通りを表現する方法として、次のような例もあります。
京都市上京区 芦山寺通北裏 大宮西入 社横町
京都市東山区 三条通南裏2筋目 白川筋 西入 堤町
前者は芦山寺通の1本北側を並行する通り、後者は三条通の2本南側を並行する通りという意味です。
とりわけ後者は白川筋との組み合わせで興味深い表現です。
仁丹にもありました。



ランドマーク
〇〇通△△という<通り名1><通り名2>の組み合わせで交差点を指示するということは、すなわち特定のポイントを指し示すことです。
そこで、有名なランドマークがあればそれ自体で特定のポイントを表わすことにもなり、次のような例も出てきます。
京都市上京区 大宮通西裏 今宮御旅所 下る 西若宮北半町
大宮通の1本西側の南北の通りで、今宮神社の御旅所を下るという指示です。
現在の地図では御旅所の境内が大宮通で途切れているのでちょっと分かり難いですね。
昭和初期の地図を確認する必要がありそうです。
京都市東山区 三条通 大橋 東入 2丁目 若竹町
これは三条大橋を東へ進んで2本目の通り近辺という意味です。
京都市東山区 八坂鳥居前 東入 円山町
こうなると東西南北の通り名は一切無視、ずばり八坂神社の鳥居の前から東へということです。石段下(四条通のどんつき)のことではなくて、境内の南側にある鳥居のことです。

京都御苑
すべて通り名の組み合わせで表現する上京区にあって、唯一の例外が「京都御苑」なる町名です。すなわち御所です。通り名は一切使わずに
京都市上京区 京都御苑 ***番地
となります。
しかしながら、さすがに仁丹が存在したという情報はありませんし、これからもないのじゃないでしょうか。

以上、イレギュラーな公称表示としての代表格を紹介しました。
しかし、こうして見てくると、公称表示というのは地元がずっと使ってきたという実情を配慮した結果なのでしょうね。
特に、同じ場所を表現する公称表示が何通りかあるなんて他の都市ではあり得ないのではないでしょうか。

また、仁丹町名表示板は公称をひたすら尊重していると度々述べていますが、どう説明したらよいのか分からない不可解な表示板も実のところ、数は極めて少ないものの存在しています。
それらについては、またの機会に紹介させていただき、みんなで謎解きをしてみたいと考えています。  


Posted by 京都仁丹樂會 at 09:46Comments(1)公称表示

2011年08月13日

公称表示の具体例



ここで具体的な例で説明します。御所の西側のエリアですが、以下の①~⑦の公称の住所表示はそれぞれ次のようになります。



公式
京都市 + <行政区名> + <通り名1> + <通り名2> + <方向>
                  + <オプション> + <町名> + <地番>



室町通に面していて、一条通との交差点から北にあるポイントですから、
京都市上京区 室町通一条上る 小島町 ***番地
となります。


同じく室町通に面していますが、今度は一条通との交差点から南にあるポイントなので、
京都市上京区 室町通一条下る 薬屋町 ***番地
となります。


一条通に面していて、烏丸通と室町通のちょうど中間辺りに位置するポイントです。烏丸通からでも室町通からでも、どちらから導いても構いません。
京都市上京区 一条通烏丸西入 広橋殿町 ***番地
   もしくは
京都市上京区 一条通室町東入 広橋殿町 ***番地
となります。どちらの表示を選ぶかは自由です。


室町通に面していて、武者小路通との交差点から少し南に位置していますので、
京都市上京区 室町通武者小路下る 福長町 ***番地
となります。ただし、商売をされている方は“下る”ではなく験をかついであえて“上る”を使うこともあり、そのような場合は、
京都市上京区 室町通一条上る 福長町 ***番地
ともなり得ます。


それでは、⑤はどうでしょうか。室町通には面せず、室町通から分岐した無名の通りに面しています。このような場合はオプションを付け加えて、
京都市上京区 室町通武者小路下る 東入 福長町 ***番地
となります。


これも同様のパターンで、
京都市上京区 烏丸通一条上る 西入 広橋殿町 ***番地
です。


しかし、⑦となると何本目の通りを西に入るのかとなりますので、
京都市上京区 烏丸通一条上る 2筋目西入 観山橘町 ***番地
となるのです。この2筋目なる表現ですが、地域によっては“2丁目”だったり“2町目”だったりします。

以上が、極めてポピュラーな表現方法ですが、例外もいくつかあって楽しませてくれます。
それらは次に紹介します。
  


Posted by 京都仁丹樂會 at 08:40Comments(0)公称表示

2011年08月12日

京都の住所表示のルール



前回の基礎講座では、京都の仁丹町名表示板は地元の要望も聞き入れつつ、公称表示を尊重していると説明しましたが、そもそも京都の公称表示とはどのようなものなのか、その独特のルールを先ずは理解しておく必要があります。
ここでは公称の表示方法、つまり住民登録や戸籍において使用される正式な住所表示について説明します。

ご存知のとおり、京都の中心部は道路が東西南北に碁盤の目のように配置されています。
平安京をルーツとしてその後拡大していき、現在のようになりました。
そして、碁盤の目のエリアでは、南北の通りをY軸、東西の通りをX軸として、座標で位置を指し示すことが慣わしとなり、さらにはそれが公称の住所表示にまでなりました。



X軸とY軸の交点、すなわち南北と東西の道路の交差点から、北へ行く場合は「上る」、南へは「下る」、東へ行く場合は「東入」、西へは「西入」などといった進むべき方向を指示、目的の場所へと誘導します。
日常生活ではこれだけで十分に用を足すのですが、公称としてはこの後に町名と地番を付け加えて完成です。

これを公式風に表現すると次のようになります。

京都市 + <行政区名> + <通り名1> + <通り名2> + <方向>
                  + <オプション> + <町名> + <地番>

ただ、ごく一部ですが例外もいくらかあります。だからこそ面白いのですが、それらについては後ほど紹介させていただきます。

<行政区名>
この公式の行政区名として入る区は、北区、上京区、中京区、下京区、左京区、東山区、南区のみに限られ、しかも北大路通、東山通、九条通、西大路通に囲まれた内側です。
つまりは、かつての市電の外周線の内側と“ほぼ”一致します。
したがって、上京区のすべて、中京区・下京区のほとんど、北区の南部、左京区の南西部、東山区の西部、南区の北部がこのエリアとなります。
ただし、市電の内側でも西ノ京や壬生、朱雀、中堂寺、西七条、梅小路などは該当しません。

<通り名1> <通り名2>
通り名1には導きたいポイントが面している通り名を必ず先に持ってきます。
大抵の場合は玄関が面している通り名です。
続いて通り名2です。交差点を指定する必要があるわけですから通り名1が南北に走るなら通り名2には東西の通りを、通り名1が東西ならば通り名2は南北の通りでないとエラーとなります。
そして、通り名2は「〇〇通」の“通”なる文字は書きません。
ただし、「御前通」だけは例外的に”通”はいずれの場合も省略しません。理由はまだ不明です。

<方向>
「上る」「下る」「東入」「西入」がここに入ります。
それぞれ「あがる」「さがる」「ひがしいる」「にしいる」と読みます。
交差点だけを指定しても、そこからどのように進めばよいのか指示しなければならないのでこれら4種類の指示は必須です。
「上る」「下る」には平仮名で送り仮名が必ず入りますが、「東入」「西入」には送り仮名は付けません。思うに、ただでさえ長い京都の住所表示、少しでも字数を減らしたいものです。
でも、上る下るで送り仮名を付けなければ、上天神町とか下天神町などといった町名と混同してしまいます。だから、省くわけにはいかないのではないでしょうか。

<オプション>
交差点からの「上る」「下る」「東入」「西入」は必須ですが、さらに詳しく誘導したければ “二丁目東入”とか“一筋目上る”などといった様々なバリエーションのオプションを入れることもできます。
例えば、“上る二丁目東入”なら、交差点から北へ進み、2本目の細い通りを東へ進むという意味なのです。
名前の付いている通りならばこのようなことは言わなくてもいいのですが、無名の通りを何本目のといった具合に説明するわけです。

<町名> + <地番>
いくら通り名の組み合わせだけで目的が果たせても、やはり場所を特定するには町名と地番が必要です。
これらを最後に付け加えて、ようやく公称としての住所表示は完成するのです。



以上が中心部の公称表示です。
やや抽象的なので、具体的な実例を次回に紹介しましょう。

なお、周辺部は他都市と何ら変わらない表示方法です。
  


Posted by 京都仁丹樂會 at 06:00Comments(1)公称表示