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2012年09月09日

設置場所統計結果 仁丹町名表示板

仁丹町名表示板を探すときは、どこに設置されているか、どこに隠れているか分からないので、上を見たり下を見たり、さらに振り返ったりと、キョロキョロするものです。
そして、”不審者を見たら110番”なる立て看板を見て、ドキッとしたりします。

さて、次なる統計データは設置場所です。ご覧のとおりの結果となりました。

設置場所統計結果 仁丹町名表示板
~2012.9.1現在 京都仁丹樂會調べ~


これは、私たちが存在を確認した仁丹町名表示板1,314枚のうち、すでに埋蔵仁丹となっていてどこに設置されていたものなのか分からない61枚を差し引いた1,253枚について集計したものです。ただし、設置場所は当初からのものとは限りません。現実に移動しているものもあります。現在残っているものは現状で、消滅したものは最後の状況でカウントしました。また、分類については判断が分かれるものも多く、そう厳格な数値ではありません。


さて、予想はしていましたが、「家屋1階」と「家屋2階」という建物本体への設置が全体の92.1%の1,154枚でした。
その中でも、2階の652枚が1階の502枚を上回り、過半数を占めるという結果が出ました。

家屋1階
設置場所統計結果 仁丹町名表示板


家屋2階
設置場所統計結果 仁丹町名表示板

平屋に設置されている場合は当然ながら家屋1階として、また、虫籠窓に設置されているものは家屋2階としてカウントしていますので、完全な2階建てで1階か2階かの2つの選択肢があった場合にいずれを選んでいるかとう結果ではありません。
でも、やはり2階という数値が多いということは、仁丹町名表示板は目の高さよりも上に設置するというのが「標準」だったのかもしれませんね。
今の感覚では、盗難を意識して2階への設置が多かったのだろうかと考えそうですが、設置当時はそのような心配は無用なわけで、やはり人影や物陰に隠れないということで、高い所がより適当だと判断されたのかもしれません。

「塀」は3%に満たない少数派ですが、京都の家の場合は塀に囲まれていること自体が少なく、たまたま適切なポイントに塀があっただけのことでしょう。基本的には家屋1階と同等の位置付けのものと判断できます。
ただし、松ヶ崎などでは塀に付ける方が見易いのに、大きなお屋敷の2階に設置されています。

設置場所統計結果 仁丹町名表示板


これに比べて、「フェンス」や「電柱等」は明らかに性格を異にします。
元々設置されていた家屋が解体され、表示板を引き継ぐ人も現れず、でも廃棄処分は免れて、町内の誰かが近くのフェンスか電柱などに設置されたのでしょう。
一応、町内のものだという認識は働いていると思います。

フェンス
設置場所統計結果 仁丹町名表示板


電柱
設置場所統計結果 仁丹町名表示板



町内のものという気持ちがもっと強く表れているのが、お「地蔵」さんの祠での設置もしくは保管ではないでしょうか。
これも元々はどこかのお家に付いていたものが、解体され、ここへ大切に落ち着いたものなのでしょう。

地蔵
設置場所統計結果 仁丹町名表示板



一般的には民家や商店に設置されていることが多いのですが、お寺の塀や山門、御堂など「寺院」への設置も見受けられます。
果たして最初からそうだったのか、それとも後にやはり地域のものだからと持ち込まれたものなのか全く分かりませんが、公共性のあるものだからという意識の働きが感じられます。

寺院
設置場所統計結果 仁丹町名表示板



「路地の入口」というのも非常に興味深いものがあります。
この奥にも住んでますよ、町内ですよとアピールしているようです。

路地入口
設置場所統計結果 仁丹町名表示板


最後の「物置」とは、母家に対する付属家の物置ではなく、物置として独立した建物としました。その経過はフェンスや電柱などに相当するものでしょう。

物置
設置場所統計結果 仁丹町名表示板


「地階」とあるのは極めて特殊なケースなのですが、地階に設けられたガレージの壁に設置されているもので、入口の道路から見えるようになっています。家屋1階相当と言えます。

「放置」はそのとおり、解体された家に設置されていたのでしょう、更地にほったらかしになっていたものです。当然ながら、その末路は行方不明でした。

放置
設置場所統計結果 仁丹町名表示板



最後に「室内現役」です。これは特殊です。
商店の中に設置されているのですが、道路を行く人には見えるので、埋蔵仁丹としてカウントせずに一応”現役”扱いをしています。
ただし、その商店が閉まっているときはシャッターが降りて見られなくなることもあります。
現役だけど非常に大切にされている、箱入り娘ならぬ”箱入り仁丹”です。

室内現役
設置場所統計結果 仁丹町名表示板


以上が、設置場所に注目した統計結果でした。
特に仁丹の謎が何かひとつ解けるというものではないのですが、そこからは町内の方々の仁丹町名表示板への愛着、町名への愛着、京都に対する郷土愛などが見えてくるのではないでしょうか。




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Posted by 京都仁丹樂會 at 11:44│Comments(2)統計
この記事へのコメント
物置の設置例として写っている『上京區 岡﨑西福ノ川町』の仁丹ですが、この前、確認に行ってみると、物置自体が新しくなっていました。そして、仁丹は残念ながら無くなっていました。
もしかすると、その物置の中に保管されているのではないかと思っています。
Posted by まっちゃ at 2013年02月12日 12:42
>まっちゃさま

>その物置の中に保管されているのではないかと思っています。
 
残念ですが、2010年頃に看板のみ消滅しております。盗難の可能性大です。
Posted by デナ桜 at 2013年02月12日 20:30
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