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2014年11月13日

仁丹に見る近代史 ~東一条通~



仁丹と関係あるの?というような写真からスタートしますが、ここは東一条通の西の端、鴨川です。ということで、「仁丹の語る近代史」シリーズの今回のテーマは「東一条通」です。


↑ 東一条通 川端通から東方面を望む


京都のまちを歩いていて、不自然に広い道路に出会うことがしばしばあります。
東一条通も例外ではありません。
東大路から西へ歩けば、順に、イタリヤ会館、大学関係の洋館、旧左京区役所、第四錦林小学校、松井酒造、そして川端通に突き当たり、その向こうは鴨川です。

そして、通りに面して次のような仁丹が見られます。




シリーズの今までの話の流れからすると、不自然に広い通りは戦時中の建物疎開跡地を利用した道路だ、それを仁丹町名表示板が教えてくれる、となるのですが、ここ東一条通は当てはまりませんでした。鴨川に通じるので、てっきり消防道路としての建物疎開かと思ったのですが。

したがって、今回の仁丹はこじつけです。特に関連はありません。
強いて近代史に結びつけるならば、昭和3年の京都市告示252号で万里小路通が鞠小路通に名称変更となり、仁丹は新名称を使っているという程度でしょうか。

※     ※     ※

実は、東一条通が広い理由は、明治から大正にかけて行われた三大事業において、市電を通すつもりが実現できず、予算の付いた道路拡幅だけで終わってしまったからなのです。

次の資料をご覧ください。
大正3年に発行された「京都市三大事業誌〔図譜〕」にある、「電気軌道線 路線図」です。




赤く太い実線が三大事業により開通した市電の路線です。
市電のネットワークが誕生しつつありますが、まだ北大路通も西大路通もなく、北辺は今出川通の一部で終わっています。そして、この地図の北東部に点線で示された何やら違和感を抱くエリアがあります。

その東北部を拡大すると、次のようになります。


赤い点線が太いのと細いのと2種類ありますが、いずれも計画段階であることを示し、東大路丸太町から北上、百万遍に行くことなく東一条通で左折、そのまま東一条通を進み、なんと鴨川を渡って河原町通へ出て、次は今出川まで北上して烏丸今出川まで来ている既成線に接続しようというものだったのです。

そして、この2種類の点線、凡例によると太い点線は「未成線」として示されており、細い点線は「未特許計画線」と区別されています。これは、鉄道は自由に敷設できるものではなく国の認可が必要であり、後者の未特許計画線というのは、認可が下りていないという意味なのです。

では、認可が下りていないその理由は何かというと、帝国大学理工科物理教室で使われる電流計に、電車の電気が影響を及ぼすという申し立てがあったからだそうです。(思文閣出版 「みやこの近代化」 東北の欠けた循環街路 伊從勉 より)

このようなことから、三大事業で計画された東一条通の市電敷設は結局実現されませんでしたが、道路の拡幅だけは予算が組まれていた関係で先行してしまい、現在のような不自然に広い道路の出現となったのでした。(同じく 「みやこの近代化」 より)


なお、冒頭の鴨川の写真における画面中央は、橋が架かり市電が走っていたかもしれない空間だったのです。架橋計画は昭和2年の都市計画でも認められ、ずっと残っていましたが、平成22年の都市計画全体の見直しにともない、とうとう架橋計画は廃止されました。


↑ 東大路より鴨川方向を望む

~京都仁丹樂會 shimo-chan~





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