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2015年03月16日

全国津々浦々の考証(その2)

全 国 津 々 浦 々 の 考 証 (その2)
~前橋にも仁丹町名表示板が!?~


今年の正月も過ぎた頃、驚きのニュースが飛び込んできました。
当ブログの読者の方より、”前橋市に仁丹の商標付町名表示板があったようだ”とのメールをいただいたのです。

それは「前橋の昭和展」なるイベントで展示されていたのを後日ネットで発見されたものでした。
これ ↓ がその時のポスターです。

全国津々浦々の考証(その2)


なるほど、確かに赤電話の左に青い縦長の町名表示板らしきものが描かれています。
早速、ネットでイベントの様子がないかと探してみると、小さな写真ではありましたが見つけることができました。その写真からは、確かに琺瑯製で、紺地に白の文字、そして最下部にはお馴染みの森下仁丹の商標が見られます。
紛れもなく仁丹町名表示板ではないですか!

関西の5都市以外にもあった! やはり全国津々浦々は本当だったのか! と一同色めき立ったことは言うまでもありません。


場所が群馬県の前橋市となると、京都仁丹樂會関東支部の出番です。情報を求めて、調査にでかけることになりました。

ネットで探し当てたその町名表示板は、「前橋市 竪町11番地」とあります。
「前橋市」は左横書きなので戦後のものなのでしょう。
でも「竪町」という町名は見当たらず、今は存在しないようです。
もしかしたら住居表示の実施により消滅した町名なのかと、さらに探索を続けると『商工まえばし別冊 「旧町名への旅」』なる資料に辿り着きました。(青字の部分はリンクしています)
前橋市では昭和40~42年に段階的に住居表示を実施、竪町はやはりその時に消滅した町名だったのです。今は、千代田町二丁目というようです。

※     ※     ※


このような予備知識を持って、いざ現地調査へと出発です。
イベントはすでに終了しているので、関係者の方に連絡を取ったところ、その時のたばこ屋のセットは別の場所で展示されているとのことでした。
そこはJR新前橋駅近くの印刷会社のショールーム内でした。

全国津々浦々の考証(その2)



中へとお邪魔すると、ポスターで見たのと同じセットが置かれていました。昔懐かしい琺瑯看板や赤電話など、昭和レトロな品々がギュッと集められ、展示されていました。

全国津々浦々の考証(その2)



そして、赤電話のすぐ近くにありました!仁丹町名表示板が! 遂に実物とご対面です。

全国津々浦々の考証(その2)



しかし、近づいてみると何か違和感が・・・
先ず、商標が新しいのです。昭和49年からの商標が使われています。
住居表示が実施されたのが、昭和40~42年のことなので、それと同時にこの町名表示板は役目を終えたはずです。一体、どのように理解したらよいのでしょうか?

さらに近づいて、さらにじっくり眺めると・・・
なんと琺瑯製ではなく、紙にプリンターで印刷されたものでした。
サビやかすれなど、実物を至近距離で見つめて初めて分かるほどの素晴らしい出来映えです。

全国津々浦々の考証(その2)


事情を印刷会社の方に伺ったところ、詳細は不明とのことだったので、次はこの町名表示板の住所を訪ねてみることにしました。

そして、この住所には現在お茶屋さんがあり、オーナーの方にお話を伺うことができました。

すると、実際にこの地に仁丹町名表示板があった訳ではなく、昨年のイベントの際に知り合いの方が昭和の雰囲気づくりのために作成した架空の町名表示板であるということが判明したのでありました。

※     ※     ※


ということで、今回の騒ぎはこれで決着が付きました。
結果としては、残念ながら仁丹町名表示板は存在せず、相変わらず関西以外での設置を確認することができませんでした。

今回のイベントは、あくまでも昭和レトロな雰囲気を醸し出すための演出だったのです。
その中には、本物のパーツもあればイミテーションも含まれていた、と言う訳です。

でも、町名表示板といえば仁丹、こんな町名表示板があればいいなぁと言う気持ちの表れでもあるのでしょう。
そのようなイメージが広がっているのは、当樂會としては嬉しいことではあります。

それにしても、配色と言いなかなか素晴らしい仁丹町名表示板でした。
本当にこのようなものがあればいいですね。

-つづく-

~京都仁丹樂會 関東支部grv1182~




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Posted by 京都仁丹樂會 at 21:47│Comments(0)基礎研究
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