同潤会アパート 看板盗まれる!

京都仁丹樂會

2013年06月18日 07:01

京都仁丹樂會関東支部!?から寄せられた情報です。

その前に、関東支部?と思われるかもしれませんが、神奈川県在住のgrv1182さんのことをこうお呼びしています。
京都の大ファンで年に数回、京都へ通ううちに仁丹町名表示板にも嵌ってしまい、昨年10月14日の「まいまい京都 仁丹コース」での一般参加者を経て、今は当会の会員として活動しておられます。
ただし、当然ながら頻繁に行動を共にすることはできませんので、東京に本当に仁丹町名表示板が存在したのかとか、マイナーな資料を国会図書館へ見に行っていただくとか、関東方面からの様々な探索に尽力いただいています。

さて、本題の同潤会アパートの話題です。
知る人ぞ知るといった感じで京都では耳にすることの少ない名称ですが、関東では有名です。

大正12年の関東大震災からの復興で、「同潤会」なる財団法人が設立され、大正の末から昭和初期にかけて東京や横浜に次々と鉄筋コンクリート造のアパートが建築されていきました。
それらを「同潤会アパート」と呼びます。
有名人の出身も多く、当時としては最新設備を誇った憧れのアパートでもあったそうです。

それが、老朽化のため順次解体されていき、最後まで残った上野駅近くの「上野下アパート」がこのほど、とうとう解体され、いわゆる同潤会アパートはすべて姿を消したのだそうです。

これ ↓ が解体工事の始まった6月9日現在の上野下アパートの写真です。





ところが、そのアパートの門柱にあった『上野下アパート』なる看板が盗まれたそうで、6月4日の読売新聞に次のように報じられました。

あの同潤会「上野下アパート」看板、なくなる

 関東大震災の復興住宅として建てられた同潤会アパートのうち唯一現存し、今月中に解体され、新たにマンションへと建て替えられる「上野下アパート」(台東区)の看板3枚がなくなっていたことが分かった。
 このうち2枚について、解体工事などを担当する都内の建設会社は上野署に被害届を出した。
 建て替えを担当する三菱地所レジデンスによると、看板3枚は木製で、いずれも「上野下アパート」と明記され、3か所の門にかけられていた。
 昨年12月には3枚あったが、その後1枚の行方が分からなくなり、今年5月13日朝、解体準備のために都内の建設会社の担当者が訪れたところ、残りの2枚もなくなっていることに気づいたという。
 三菱地所レジデンスの担当者は「アパートのシンボルでもあり、大変悲しい」と話している。

~平成25年6月4日 読売新聞~


思い入れのあるかつての住人が持って行ったのか、はたまた単なるコレクションとして持ち去られたのか、まだ分からないのでしょうが、いずれにせよ所有権のない人が、ある人から奪ったからこそ、今回のような盗難届となったのでしょう。

このような現象、私たちも他人ごとではありません。
そうです、京都の仁丹町名表示板も所々で盗難に遭っているからです。
こちらはまさしく現役にも関わらずです。

先日ははっきりと盗難と分かっているものがネットオークションに出品されました。
町内から盗難届が出ていると聞いていたし、オークション出品中も警察に通報されたので安心したのですが、最初の盗難届というのが相談程度で正式なものでなかったとのことで、動けなかったようです。
今後は、盗難に遭った時はすぐに盗難届を出すという行動が必要になるのでしょう。

先の上野下アパートの記事によれば、『三菱地所レジデンスの担当者は「アパートのシンボルでもあり、大変悲しい」と話している。』とあるのと同様、京都の仁丹町名表示板は今や単なる一企業の広告の域を超えた京都の文化財なのですから、まさに京都市民の財産を奪うことになります。
老朽家屋とともに年々自然減少している傾向にある仁丹町名表示板、ぜひとも町内所有のものとして伝え続けていきたいものです。

~京都仁丹樂會 grv1182・たけちゃん・shimo-chan~

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