仁丹町名表示板 奈良市の場合
奈良の仁丹町名表示板は、大津と同じく町名だけのシンプルな“これぞ町名表示板”です。
ここでも10枚程度しか見つけていませんが、次のようなことが分かります。
①大きさ
縦60.5㎝ 横12㎝。京都・大阪にくらべて短い印象がまず来ます。
②縁取り
大津、大阪と同様、黒の細いラインがあります。
③商標の位置
現在のところ、下にあるものしか見つかっていません。
④ビスマルク
色は黒しか現在のところ見られません。デザインは戦後似?
⑤「仁丹」の文字の色
赤色。ロゴのデザインは、戦前タイプ。
⑥書体
個性の少ない画一的な筆文字。
大阪と同じく、文字部分はへこんでいてでこぼこしています。
また、ルビが入っているものが目立ちました。
⑦区切りライン
町名と商標の間には京都と同じような菱形のラインが入ります。
⑧商品ロゴ
大阪と同じく、「仁丹歯磨」しか見つかっていません。
⑨ネジ穴
表示板を柱などに取り付けるためのネジ穴ですが、他都市のは上下各1個ずつ、左右各2個ずつの計6箇所ありましたが、奈良のは上下左右は各1個ずつの計4箇所でした。
書式は次のとおりとなります。
町名 + 区切りライン + 商標 + 商品ロゴ
設置時期
設置時期は大阪と同じように「仁丹歯磨」が左横書きであることなどから、戦後ではないかと思われます。
この記事をまとめるにあたり、再度奈良の町を見て回ったところ、田中町の表示板がなくなっていました。
やはり奈良の仁丹町名表示板も風前のともしびといったところでしょう。今、保全しなければ僅かに残った仁丹町名表示板は完全に姿を消してしまうことになるでしょう。
仁丹町名表示板 「基礎講座」 index ~日々記事更新してゆきます~
◆序、
仁丹町名表示板「基礎講座」 開講にあたって
◆一、 予備知識
①「仁丹町名表示板」とは
②そもそも「仁丹」とは
③「森下仁丹株式会社」とは
◆二、 実例
①京都市以外の仁丹町名表示板
②仁丹町名表示板 大津市の場合
③仁丹町名表示板 大阪市の場合
④仁丹町名表示板 奈良市の場合
⑤仁丹町名表示板 伏見市の場合
⑥仁丹町名表示板 実例のまとめ
以下、続々連載中
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