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2011年08月12日

京都の住所表示のルール

京都の住所表示のルール


前回の基礎講座では、京都の仁丹町名表示板は地元の要望も聞き入れつつ、公称表示を尊重していると説明しましたが、そもそも京都の公称表示とはどのようなものなのか、その独特のルールを先ずは理解しておく必要があります。
ここでは公称の表示方法、つまり住民登録や戸籍において使用される正式な住所表示について説明します。

ご存知のとおり、京都の中心部は道路が東西南北に碁盤の目のように配置されています。
平安京をルーツとしてその後拡大していき、現在のようになりました。
そして、碁盤の目のエリアでは、南北の通りをY軸、東西の通りをX軸として、座標で位置を指し示すことが慣わしとなり、さらにはそれが公称の住所表示にまでなりました。

京都の住所表示のルール


X軸とY軸の交点、すなわち南北と東西の道路の交差点から、北へ行く場合は「上る」、南へは「下る」、東へ行く場合は「東入」、西へは「西入」などといった進むべき方向を指示、目的の場所へと誘導します。
日常生活ではこれだけで十分に用を足すのですが、公称としてはこの後に町名と地番を付け加えて完成です。

これを公式風に表現すると次のようになります。

京都市 + <行政区名> + <通り名1> + <通り名2> + <方向>
                  + <オプション> + <町名> + <地番>

ただ、ごく一部ですが例外もいくらかあります。だからこそ面白いのですが、それらについては後ほど紹介させていただきます。

<行政区名>
この公式の行政区名として入る区は、北区、上京区、中京区、下京区、左京区、東山区、南区のみに限られ、しかも北大路通、東山通、九条通、西大路通に囲まれた内側です。
つまりは、かつての市電の外周線の内側と“ほぼ”一致します。
したがって、上京区のすべて、中京区・下京区のほとんど、北区の南部、左京区の南西部、東山区の西部、南区の北部がこのエリアとなります。
ただし、市電の内側でも西ノ京や壬生、朱雀、中堂寺、西七条、梅小路などは該当しません。

<通り名1> <通り名2>
通り名1には導きたいポイントが面している通り名を必ず先に持ってきます。
大抵の場合は玄関が面している通り名です。
続いて通り名2です。交差点を指定する必要があるわけですから通り名1が南北に走るなら通り名2には東西の通りを、通り名1が東西ならば通り名2は南北の通りでないとエラーとなります。
そして、通り名2は「〇〇通」の“通”なる文字は書きません。
ただし、「御前通」だけは例外的に”通”はいずれの場合も省略しません。理由はまだ不明です。

<方向>
「上る」「下る」「東入」「西入」がここに入ります。
それぞれ「あがる」「さがる」「ひがしいる」「にしいる」と読みます。
交差点だけを指定しても、そこからどのように進めばよいのか指示しなければならないのでこれら4種類の指示は必須です。
「上る」「下る」には平仮名で送り仮名が必ず入りますが、「東入」「西入」には送り仮名は付けません。思うに、ただでさえ長い京都の住所表示、少しでも字数を減らしたいものです。
でも、上る下るで送り仮名を付けなければ、上天神町とか下天神町などといった町名と混同してしまいます。だから、省くわけにはいかないのではないでしょうか。

<オプション>
交差点からの「上る」「下る」「東入」「西入」は必須ですが、さらに詳しく誘導したければ “二丁目東入”とか“一筋目上る”などといった様々なバリエーションのオプションを入れることもできます。
例えば、“上る二丁目東入”なら、交差点から北へ進み、2本目の細い通りを東へ進むという意味なのです。
名前の付いている通りならばこのようなことは言わなくてもいいのですが、無名の通りを何本目のといった具合に説明するわけです。

<町名> + <地番>
いくら通り名の組み合わせだけで目的が果たせても、やはり場所を特定するには町名と地番が必要です。
これらを最後に付け加えて、ようやく公称としての住所表示は完成するのです。

京都の住所表示のルール


以上が中心部の公称表示です。
やや抽象的なので、具体的な実例を次回に紹介しましょう。

なお、周辺部は他都市と何ら変わらない表示方法です。



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Posted by 京都仁丹樂會 at 06:00│Comments(1)公称表示
この記事へのコメント
>なお、周辺部は他都市と何ら変わらない表示方法です。

他都市の正式な住所は、地番までカウントしてもせいぜい10~15字程度ではないでしょうか。
なのに、京都の中心区では25文字前後はざらで30文字に達しそうなところもあります。

昔、聞いた話です。
京都市の住民登録がコンピューター化されたのは、確か昭和の終わり頃でした。(昭和62年ぐらいだったかな?)
当時は、今のように画像なんて扱える時代ではなく、テキストだけであり、それでもメモリーを節約するため、この項目は〇字までとか、マイナーな漢字は活字が用意されず手書きで対応するなどという制限がよくあったものです。

京都市の場合はもちろん自分のところの住所表示がどんなものか分かっているので問題はありませんでしたが、他都市においては京都のこのような事情を知らずに設計していたものだから、前住所や本籍地の欄に京都の住所が入りきらなかったこともあったそうです。

だから、何とかならいないのかという他都市の職員からの苦情とも問い合わせともつかない、悲痛な声がよく届けられていたそうです。
Posted by shimo-chan at 2011年08月31日 21:55
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