2023年12月30日
車窓からの琺瑯看板

このように線路脇に琺瑯看板があるというのは、かつては日常の光景でした。
2007年4月、兵庫県の三木鉄道の沿線です。国鉄三木線時代からあったものなのでしょう。でも、今は線路も建物もありません。
次は近江鉄道の桜川駅。2001年6月の撮影ですが、ここは線路は今もありますが、建物は消え、琺瑯看板も運命を共にしました。

そして、富山地方鉄道の岩峅寺駅の近く。2010年5月の撮影ですが、ここは今もこのままあります。ただし、現在は草木がもっと茂っていて見つけるのは困難、広告として維持されているとは言えません。

いずれも昭和の琺瑯看板全盛期に列車の乗客をターゲットにして設置されたものでしょうが、その後新たに設置されることはなく、建物の老朽化にともなって減少の一途をたどり、今や絶滅寸前といった感です。
だからこそ、今、見つければ思わず「アッ!」と声をあげそうになります。

先日、近鉄特急で伊勢方面に向かっているとき、そのような経験をしました。声には出しませんでしたが、心の中で「アッ!」となりました。次のような光景が健在だったのです。しかも、仁丹もある!

ここはどこだ?と、場所を調べると、松阪駅のひとつ手前(大阪寄り)の駅の近くでした。その駅名は松ヶ崎、京都の地下鉄にもある駅名でした。奇遇です。
これはしっかり記録しておかねばと、翌日の帰路、立ち寄りました。

そして、先ずはしばし、琺瑯看板群に圧倒されて鑑賞してしまいました。
仁丹は「旅行に仁丹」のキャッチコピー付きです。



一時期使っていたキャッチのようで、大津市の琺瑯製仁丹町名表示板にも「旅行運動に仁丹」があります。他に、「訪問接客に」「日常保健に」「執務勉強に」「急救護身薬に」などもありました。
ちなみに、八尾市には「たばこの前後に」「映画に」「気分転換に」「スポーツに」「乗物酔いに」などがあります。いずれもお勧めのシーンの紹介ですね。

この「仁」と「丹」の看板の大きさは、約90cm四方でした。今回もメジャーは持ち合わせていませんでしたが、スマホで計れることを思い出し、測量してみました。
背を向けるとと、反対側には近鉄電車が走っています。

間に田んぼがあり、看板の設置以後、何も建たなかったのでこうして今も見られるのでしょう。
何末年始、伊勢神宮に行かれる方はちょっとご覧ください。松ヶ崎駅の手前、進行方向の右手です。
なお、この他にも東海道本線の柏原~関ケ原間でも同様の仁丹看板を見ることができます。名古屋方面に向かうなら進行方向右手です。

~shimo-chan~
タグ :琺瑯看板
2023年11月22日
紅葉と仁丹
紅葉に映える仁丹町名表示板を見つけました。

まるで寺院の境内であるかのような光景ですが、千本通に面していて、すぐ前には市バスや車が盛んに走っています。バスで通るたびに、ちゃんと存在しているか気になってチェックしていましたが、こんな美しいタイミングがあるんだと感動、わざわざ撮影のためだけに出直しました。そして、この他にも四季を感じさせる仁丹はどこにあるだろう、と思いを巡らせています。

さて、この仁丹町名表示板は非常に貴重なのです。

先ずは、なんとも珍しい、行政区名の縦書きです。
京都市でも、少し周辺部になるとこのように通り名を使わない住所となるので、スペースがあるのだから大きく書けばいいじゃないかと職人さんが自己判断で行政区名を大きく縦に書いた。そんなことを勝手に想像しています。
でも、横書きもかつてあったので、謎です。

行政区名の縦書きは今まで12枚確認していますが、現役で残っているのはこの1枚だけとなりました。
さらに、昭和16年に「鷹野」が「紫野」に変わり、昭和30年には上京区から分区して北区になりました。したがって、「北区紫野十二坊町」が現在の住所です。
このようにいくつもの理由で、超貴重な仁丹町名表示板なのです。しかし、その貴重さは本来あるべき場所に現役であってこそ発揮できるものです。末永く現地で大切にされることを祈っています。

まるで寺院の境内であるかのような光景ですが、千本通に面していて、すぐ前には市バスや車が盛んに走っています。バスで通るたびに、ちゃんと存在しているか気になってチェックしていましたが、こんな美しいタイミングがあるんだと感動、わざわざ撮影のためだけに出直しました。そして、この他にも四季を感じさせる仁丹はどこにあるだろう、と思いを巡らせています。

さて、この仁丹町名表示板は非常に貴重なのです。

先ずは、なんとも珍しい、行政区名の縦書きです。
京都市でも、少し周辺部になるとこのように通り名を使わない住所となるので、スペースがあるのだから大きく書けばいいじゃないかと職人さんが自己判断で行政区名を大きく縦に書いた。そんなことを勝手に想像しています。
でも、横書きもかつてあったので、謎です。

行政区名の縦書きは今まで12枚確認していますが、現役で残っているのはこの1枚だけとなりました。
さらに、昭和16年に「鷹野」が「紫野」に変わり、昭和30年には上京区から分区して北区になりました。したがって、「北区紫野十二坊町」が現在の住所です。
このようにいくつもの理由で、超貴重な仁丹町名表示板なのです。しかし、その貴重さは本来あるべき場所に現役であってこそ発揮できるものです。末永く現地で大切にされることを祈っています。
~shimo-chan~
タグ :仁丹町名表示板
2023年07月23日
祇園祭と仁丹~後祭~
本日、7月23日は祇園祭後祭の宵山です。
新町通の北観音山と南観音山では、復活バージョンの仁丹町名表示板とのコラボが楽しめます。
先ずは南観音山です。

どこに仁丹があるか分るでしょうか? 右端に写っています。
昼間とは違う、ほんのりとした光に包まれながら輝いていました。


ついでに、もう少し上れば、今度は北観音山です。

写真はいずれも宵々々山の7月21日撮影です。
夜でも蒸し暑い京都の夏、来年は涼しいかもと、ついつい翌年回しすることが何度あったことでしょうか。
今年は重い腰を上げたおかげで、豪華絢爛な山鉾と美しい仁丹町名表示板との共演を見ることができました。
新町通の北観音山と南観音山では、復活バージョンの仁丹町名表示板とのコラボが楽しめます。
先ずは南観音山です。

どこに仁丹があるか分るでしょうか? 右端に写っています。
昼間とは違う、ほんのりとした光に包まれながら輝いていました。


ついでに、もう少し上れば、今度は北観音山です。

写真はいずれも宵々々山の7月21日撮影です。
夜でも蒸し暑い京都の夏、来年は涼しいかもと、ついつい翌年回しすることが何度あったことでしょうか。
今年は重い腰を上げたおかげで、豪華絢爛な山鉾と美しい仁丹町名表示板との共演を見ることができました。
~shimo-chan~
2023年07月17日
祇園祭と仁丹~前祭~
本日、7月17日は、祇園祭の前祭。山鉾巡行日でもあります。
少し意外かもしれませんが、仁丹町名表示板と祇園祭のコラボが見られるポイントが何か所かあります。そのベストなポイントは、ここ山伏山かなと思います。

「下京区 室町通蛸薬師下ル山伏山町」の仁丹町名表示板が左端に見えます。

日頃は町家の、それも樋に少し身を隠すようにひっそりと佇んでいるので、気付く人は少ないでしょうが、祇園祭ともなれば表舞台に立つ仁丹なのです。
今は中京区だけど、仁丹は「下京區」。
中京区が誕生する直前の昭和3年に一気に設置されたであろう琺瑯仁丹は、今年で95歳!
今年も見られてホッとしました。
少し意外かもしれませんが、仁丹町名表示板と祇園祭のコラボが見られるポイントが何か所かあります。そのベストなポイントは、ここ山伏山かなと思います。

「下京区 室町通蛸薬師下ル山伏山町」の仁丹町名表示板が左端に見えます。

日頃は町家の、それも樋に少し身を隠すようにひっそりと佇んでいるので、気付く人は少ないでしょうが、祇園祭ともなれば表舞台に立つ仁丹なのです。
今は中京区だけど、仁丹は「下京區」。
中京区が誕生する直前の昭和3年に一気に設置されたであろう琺瑯仁丹は、今年で95歳!
今年も見られてホッとしました。
~shimo-chan~
2023年06月17日
紫陽花と仁丹
今年も紫陽花の季節となりました。
咲いているとなると、どうしても仁丹町名表示板とのコラボを撮影したくなってくるものです。
紫陽花は地面に咲くので、仁丹が主役だぞと一目瞭然の写真がなかなか撮りづらく、毎年の挑戦が続いています。
例えば、これ。

どこに仁丹があるのか、一部の人にしか分からないでしょう。
お洒落な寺町通にある、お茶の老舗「一保堂」さんです。次の写真の左上にあるのが分かります。

夷川通との交差点です。
したがって、今は中京区だけど「上京區寺町通夷川下ル常盤木町」で、表記のルールも設置ポイントもばっちり、さすが仁丹です。

ここで、もしやと思い、ちょっと調べてみました。
一保堂さんのHPを拝見すると、会社概要での住所は「京都市中京区寺町通二条上ル常盤木町52番地」となっていいます。なるほどと納得です。“下ル”ではなく二条通からの“上ル”を使っておられます。
これぞ京都の都市伝説、商売の縁起を担いで“下ル”ではなく、多少の無理があっても“上ル”を使うというものではないでしょうか。町名と番地さえ合っていれば、夷川下ルでも二条上ルでもどちらでもOKなのです。これが京都の住所の面白いところ、まさに京都の文化でもあります。

もうひとつ紫陽花と仁丹を。

御所の西、烏丸通下立売です。聖アグネス教会の前から北を臨みました。

ここは仁丹が低いところにあるので、もっとアングルを工夫すると仁丹主役の写真が撮れそうです。
そして、この仁丹は、2020年6月に新規に設置された復活バージョンです。
設置ポイントは下立売通烏丸西入なのですが、ご覧のように表記にも設置にも厳格だった昭和初期の琺瑯仁丹のようにはなりませんでした。

この下立売通をもう少し西へ進むと、最近、所在地の表現で話題となった文化庁があります。
咲いているとなると、どうしても仁丹町名表示板とのコラボを撮影したくなってくるものです。
紫陽花は地面に咲くので、仁丹が主役だぞと一目瞭然の写真がなかなか撮りづらく、毎年の挑戦が続いています。
例えば、これ。

どこに仁丹があるのか、一部の人にしか分からないでしょう。
お洒落な寺町通にある、お茶の老舗「一保堂」さんです。次の写真の左上にあるのが分かります。

夷川通との交差点です。
したがって、今は中京区だけど「上京區寺町通夷川下ル常盤木町」で、表記のルールも設置ポイントもばっちり、さすが仁丹です。

ここで、もしやと思い、ちょっと調べてみました。
一保堂さんのHPを拝見すると、会社概要での住所は「京都市中京区寺町通二条上ル常盤木町52番地」となっていいます。なるほどと納得です。“下ル”ではなく二条通からの“上ル”を使っておられます。
これぞ京都の都市伝説、商売の縁起を担いで“下ル”ではなく、多少の無理があっても“上ル”を使うというものではないでしょうか。町名と番地さえ合っていれば、夷川下ルでも二条上ルでもどちらでもOKなのです。これが京都の住所の面白いところ、まさに京都の文化でもあります。

もうひとつ紫陽花と仁丹を。

御所の西、烏丸通下立売です。聖アグネス教会の前から北を臨みました。

ここは仁丹が低いところにあるので、もっとアングルを工夫すると仁丹主役の写真が撮れそうです。
そして、この仁丹は、2020年6月に新規に設置された復活バージョンです。
設置ポイントは下立売通烏丸西入なのですが、ご覧のように表記にも設置にも厳格だった昭和初期の琺瑯仁丹のようにはなりませんでした。

この下立売通をもう少し西へ進むと、最近、所在地の表現で話題となった文化庁があります。
~shimo-chan~
2023年03月29日
桜、満開!
満開だった梅も、昨日は新緑となっていました。
そして、京都は今、桜が満開です。


仁丹町名表示板とコラボできるポイントを探すのは難しいのですが、写真は、
「下京區 大和大路通新門前上ル西之町」
です。
そして、京都は今、桜が満開です。


仁丹町名表示板とコラボできるポイントを探すのは難しいのですが、写真は、
「下京區 大和大路通新門前上ル西之町」
です。
~shimo-chan~
2023年03月11日
梅、満開!
東山区は「安井金比羅宮」の北門の近くに小松町の仁丹町名表示板があります。
「下京區 安井北門前通東大路西入 小松町」
です。

ご覧のように、今、満開の梅と、美しく整備された町家、そして仁丹町名表示板という見事なコラボを見せています。
町家は宿泊施設になっていますが、改装とともに姿を消す仁丹が多い中、しっかり残されているのが嬉しいです。
こうして見ると、まさに仁丹町名表示板は景観の一部分であり、町家の付加価値にも貢献しているように思います。
「下京區 安井北門前通東大路西入 小松町」
です。

ご覧のように、今、満開の梅と、美しく整備された町家、そして仁丹町名表示板という見事なコラボを見せています。
町家は宿泊施設になっていますが、改装とともに姿を消す仁丹が多い中、しっかり残されているのが嬉しいです。
こうして見ると、まさに仁丹町名表示板は景観の一部分であり、町家の付加価値にも貢献しているように思います。
~shimo-chan~
2017年08月27日
JRから仁丹町名表示板を見る
まるで吹き出物のような錆や腐食を体のあちこちに付けながら、道歩く人を静かに見下ろしている…街角でそんな寡黙な「仁丹町名表示板」(仁丹と略す)に出会うと、その健気さにおもわず「頑張れ!」といいたくなります。この不思議な魅力を秘めた仁丹を、多くの人が様々な方法で楽しんでいます。
その一つに、乗物から仁丹を探す、という面白さがあります。動く電車から見えるの?どうすればいいの?そんな仁丹を探しにいきませんか。
JRの列車から見える仁丹については、川崎渉三さんが『京都「仁丹 町名板」散歩』(2013)の中で2枚あることを書かれていますが、実は新幹線からのものを入れて4枚あるんですよ。
今回はそのJR(在来線)と新幹線から見える仁丹について、その場所と探し方、楽しみ方をご紹介しましょう。
まず、JRからですが、2枚の仁丹が楽しめます。「下京區 八條坊門町」(現在は南区)と「下京區 本町九丁目本町通醍醐道□□」(現在は東山区。□□部分は解読不能)です。
最初は「八條坊門町」を見ましょう。
道路から見た仁丹。満身創痍?・・・・・・・

長いひさしが帽子のように・・・・・・・

JR京都駅から下り(東海道線)の普通、新快速または関空特急(嵯峨野線からは見えない)に乗り、発車1.5分後、跨線橋となった大宮通の下をくぐってから120m。すぐ左手をやや見下ろすかたちで風情ある民家の2階に見えます。このあたりでは70~80km/hとかなりスピードが出ているのと、2階のひさしがかぶって若干見づらいですが、電車と仁丹の距離がたった10余mなので、探すのはそう難しくありません。
走行中の東海道線下り電車から仁丹を・・・・

また、仁丹の方から電車を見ても本当に間近を通っているのがよくわかります。さらに、下りだけでなく大阪、高槻方面からの上り電車からもはっきり見えます。
仁丹から見ると、電車はすぐ目の前に・・・・

ちなみに、この表示板は、JR線を隔てた北側の梅小路公園からも見えます。公園南側の散策路途中のベンチの真正面です。残念ながら、架線や電柱、防護柵が邪魔をして、実際は、「・・・・條坊門・・・・」の三文字しか見ることができませんが・・・・。水族館、鉄道博物館へお立ち寄りの帰りに、一度探してみてください。ご参考までに、この梅小路公園のベンチのところも南区八条坊門町なんですよ。
背中にイルカショーの歓声を聞きながら・・・・

アップでかろうじて ・・・・條坊門・・・・の三文字が顔を出す

次は、「本町九丁目」です。この仁丹は⏊字路の東北角にあります。通り名は南北の「本町通」が先なので、汚れて読めない部分はおそらく「本町通醍醐道上ル」でしょうね。そうなると、仁丹は本町通に向いて西向きになるはずなんですが、実物は南向きです。これだと「醍醐道通本町東入」になるのですが・・・・・・?
道路から。醍醐道、の下が読めません

南面する仁丹の風景(堂々たる風格ですね・・・・)

京都駅から上り電車(東海道線、湖西線。奈良線からは見えません)の発車後1分で鴨川を渡り切って100m先。線路沿いの通りがかなり急に登りだしたところで最初の跨線橋(歩道橋)をくぐりますが、その直前の左手に見えます。ここも、京都駅から近いのでスピードはおよそ70km/h程度、距離も車窓から20mなので見逃すことはありません。また、比較的開けたところにありますので、山科方面からの下り電車でも見ることができます。東山トンネルを出て約1分。左手に大谷高校のグランドが見えてきたらすぐ右です。
走行中の上り新快速電車から見る(右手の歩道橋が目印)

つぎに、仁丹のあるところから電車を見ると、この仁丹が比較的乗客の目の高さに近いところで見えることがよくわかります。それだけ見つけやすいということですね。
JR電車と一緒に新幹線も見えますね。
えっ? 新幹線?? 仁丹から新幹線が見えるということは???
そうです。実はこの仁丹は新幹線からも見えるのです。
仁丹から。上りの湖西線と下りの新幹線が同時に・・・・

京都駅を出た上り新幹線はおよそ40秒後に東山トンネルに入ります。新幹線は東海道線よりかなり手前でトンネルに入りますが、その入口がちょうどこの仁丹の真ん前なのです。速度は80km/h程度で在来線とあまり変わりません。
東山トンネル付近で上り下りがすれ違う新幹線(西から)

これが下り新幹線ではトンネルを出た直後になるので、目が仁丹を追えません。新幹線からこの仁丹を見るには、上りでかつ、トンネル直前しかチャンスがありません。でも、仁丹まで40数mの距離なので、方角さえ決めていればちゃんと見えますからご安心を。
新幹線側から見た仁丹。歩道橋の階段が邪魔ですが・・・・

実は、新幹線から見える仁丹はもう一枚あるのです。「下京區 西九條池ノ内町 堀川通針小路上ル」(現在は南区)がそれです。八条油小路交差点の一筋西を下がった東側のお宅の2階に付いています。新幹線は高架なので車窓から見下ろす形になります。これでJR在来線2枚、新幹線2枚、計4枚になりました。
近景(左)と遠景(右)

この仁丹の前の道路は堀川を暗渠にしたものです。堀川は七条堀川から南西に流れを変え、油小路を斜めにまたいで、リーガロイヤルホテル京都とタキイ種苗の間を南下しています。それがこの道です。この仁丹の、堀川暗渠の向かい(道路の西側)にも別の仁丹があります。「下京區 西九條藤ノ木町」です。ただ、この仁丹は地上すれすれに設置され、植栽もあって、新幹線からは見えません。
下り新幹線が京都駅を発車し、油小路通をまたいで数秒後に、進行方向左側のすぐ下を見てください。
仁丹から見た新幹線は乗客の顔がわかるほど近い

新幹線の車両はおよそ400mあり、先頭車両がこの通りにかかったときは、最後尾がやっと京都駅ホームを離れたばかり。速度は40~50km/hなので、目で捉えることは可能です。先頭車ならホームを離れてからわずか28秒。新幹線の車窓から仁丹までちょうど100m。町名の文字は不明でも存在は確認できます。とはいっても、道幅10m程度の堀川通りは、あっという間に通り過ぎ、よほど注意して首を回さないと見落とします。下り新幹線にご乗車の節には、是非、A席を取ってしっかり準備してください。運よく見つかれば、その日、きっといいことがありますよ。
では、よい旅を!
その一つに、乗物から仁丹を探す、という面白さがあります。動く電車から見えるの?どうすればいいの?そんな仁丹を探しにいきませんか。
JRの列車から見える仁丹については、川崎渉三さんが『京都「仁丹 町名板」散歩』(2013)の中で2枚あることを書かれていますが、実は新幹線からのものを入れて4枚あるんですよ。
今回はそのJR(在来線)と新幹線から見える仁丹について、その場所と探し方、楽しみ方をご紹介しましょう。
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まず、JRからですが、2枚の仁丹が楽しめます。「下京區 八條坊門町」(現在は南区)と「下京區 本町九丁目本町通醍醐道□□」(現在は東山区。□□部分は解読不能)です。
最初は「八條坊門町」を見ましょう。
道路から見た仁丹。満身創痍?・・・・・・・

長いひさしが帽子のように・・・・・・・

JR京都駅から下り(東海道線)の普通、新快速または関空特急(嵯峨野線からは見えない)に乗り、発車1.5分後、跨線橋となった大宮通の下をくぐってから120m。すぐ左手をやや見下ろすかたちで風情ある民家の2階に見えます。このあたりでは70~80km/hとかなりスピードが出ているのと、2階のひさしがかぶって若干見づらいですが、電車と仁丹の距離がたった10余mなので、探すのはそう難しくありません。
走行中の東海道線下り電車から仁丹を・・・・

また、仁丹の方から電車を見ても本当に間近を通っているのがよくわかります。さらに、下りだけでなく大阪、高槻方面からの上り電車からもはっきり見えます。
仁丹から見ると、電車はすぐ目の前に・・・・

ちなみに、この表示板は、JR線を隔てた北側の梅小路公園からも見えます。公園南側の散策路途中のベンチの真正面です。残念ながら、架線や電柱、防護柵が邪魔をして、実際は、「・・・・條坊門・・・・」の三文字しか見ることができませんが・・・・。水族館、鉄道博物館へお立ち寄りの帰りに、一度探してみてください。ご参考までに、この梅小路公園のベンチのところも南区八条坊門町なんですよ。
背中にイルカショーの歓声を聞きながら・・・・

アップでかろうじて ・・・・條坊門・・・・の三文字が顔を出す

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次は、「本町九丁目」です。この仁丹は⏊字路の東北角にあります。通り名は南北の「本町通」が先なので、汚れて読めない部分はおそらく「本町通醍醐道上ル」でしょうね。そうなると、仁丹は本町通に向いて西向きになるはずなんですが、実物は南向きです。これだと「醍醐道通本町東入」になるのですが・・・・・・?
道路から。醍醐道、の下が読めません

南面する仁丹の風景(堂々たる風格ですね・・・・)

京都駅から上り電車(東海道線、湖西線。奈良線からは見えません)の発車後1分で鴨川を渡り切って100m先。線路沿いの通りがかなり急に登りだしたところで最初の跨線橋(歩道橋)をくぐりますが、その直前の左手に見えます。ここも、京都駅から近いのでスピードはおよそ70km/h程度、距離も車窓から20mなので見逃すことはありません。また、比較的開けたところにありますので、山科方面からの下り電車でも見ることができます。東山トンネルを出て約1分。左手に大谷高校のグランドが見えてきたらすぐ右です。
走行中の上り新快速電車から見る(右手の歩道橋が目印)

つぎに、仁丹のあるところから電車を見ると、この仁丹が比較的乗客の目の高さに近いところで見えることがよくわかります。それだけ見つけやすいということですね。
JR電車と一緒に新幹線も見えますね。
えっ? 新幹線?? 仁丹から新幹線が見えるということは???
そうです。実はこの仁丹は新幹線からも見えるのです。
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仁丹から。上りの湖西線と下りの新幹線が同時に・・・・

京都駅を出た上り新幹線はおよそ40秒後に東山トンネルに入ります。新幹線は東海道線よりかなり手前でトンネルに入りますが、その入口がちょうどこの仁丹の真ん前なのです。速度は80km/h程度で在来線とあまり変わりません。
東山トンネル付近で上り下りがすれ違う新幹線(西から)

これが下り新幹線ではトンネルを出た直後になるので、目が仁丹を追えません。新幹線からこの仁丹を見るには、上りでかつ、トンネル直前しかチャンスがありません。でも、仁丹まで40数mの距離なので、方角さえ決めていればちゃんと見えますからご安心を。
新幹線側から見た仁丹。歩道橋の階段が邪魔ですが・・・・

実は、新幹線から見える仁丹はもう一枚あるのです。「下京區 西九條池ノ内町 堀川通針小路上ル」(現在は南区)がそれです。八条油小路交差点の一筋西を下がった東側のお宅の2階に付いています。新幹線は高架なので車窓から見下ろす形になります。これでJR在来線2枚、新幹線2枚、計4枚になりました。
近景(左)と遠景(右)

この仁丹の前の道路は堀川を暗渠にしたものです。堀川は七条堀川から南西に流れを変え、油小路を斜めにまたいで、リーガロイヤルホテル京都とタキイ種苗の間を南下しています。それがこの道です。この仁丹の、堀川暗渠の向かい(道路の西側)にも別の仁丹があります。「下京區 西九條藤ノ木町」です。ただ、この仁丹は地上すれすれに設置され、植栽もあって、新幹線からは見えません。
下り新幹線が京都駅を発車し、油小路通をまたいで数秒後に、進行方向左側のすぐ下を見てください。
仁丹から見た新幹線は乗客の顔がわかるほど近い

新幹線の車両はおよそ400mあり、先頭車両がこの通りにかかったときは、最後尾がやっと京都駅ホームを離れたばかり。速度は40~50km/hなので、目で捉えることは可能です。先頭車ならホームを離れてからわずか28秒。新幹線の車窓から仁丹までちょうど100m。町名の文字は不明でも存在は確認できます。とはいっても、道幅10m程度の堀川通りは、あっという間に通り過ぎ、よほど注意して首を回さないと見落とします。下り新幹線にご乗車の節には、是非、A席を取ってしっかり準備してください。運よく見つかれば、その日、きっといいことがありますよ。
では、よい旅を!
masajin
2016年01月23日
お正月です。いろはカルタでご報告
い
「犬も歩けば棒に当たる」ではありませんが、このあいだ大阪の十三(じゅうそう)を歩いていると新しい住所表示板の下に顔を出している仁丹町名表示板発見です。 私も歩けば仁丹町名表示板に当たる。
ろ
「論より証拠」ではありませんが、これを見てください。言っているより証拠写真。

は
「針の穴から天を覗く」ではありませんが、住所表示板の下から仁丹が覗く。

に
「憎まれ子 世にはばかる」新しい住所表示板を憎まれっ子といってしまうのは可愛そうですが、樂會的には憎まれっ子の新しい住所表示板。もしこれがなかったら大礼服のおっちゃんもこんな感じに見えるんですよ。

でも、憎まれっ子がいたおかげで今あると思うと、救いの神に見えてきます。
ほ
「骨折り損のくたびれ儲け」こんなことも多いですが、歩いて回るのって大事ですね!
今年は仁丹樂會で京都市内の仁丹町名表示板の再チェックのため、市内を歩き回ります!
うさん臭く仁丹町名表示板の写真を撮っている人を見たら声をかけてくださいね。
へ
「下手の長談義」仁丹樂會は仁丹町名表示板を愛する者の集まり。
下手かどうかはさて置いて、ひとたび仁丹町名表示板の話に入るや、時間はあったものではありません。話は夜を徹して行われます。いやはや、熱きロマンをかきたてる代物ではあります。
と
「 灯台下暗し」さて、話題を仁丹町名表示板に移しましょう。この看板は職場近くのいつも通っている商店街のはずれの家に、新しい住所表示板の下1センチほど顔を出していました。見つけるには仁丹に精通していないとこういうところで、お目にかかることはできません。またそれを仲間に言ってちやほやされるのも趣味の醍醐味。
みなさんも自宅周辺や職場の近くの意外なところで新たな発見があるかもしれません。
何かありましたら、ご一報を。ちやほやしちゃいますよ。
今年一年、仁丹町名表示板と仁丹樂會を可愛がってくださいね。よろしくお願いします。
「犬も歩けば棒に当たる」ではありませんが、このあいだ大阪の十三(じゅうそう)を歩いていると新しい住所表示板の下に顔を出している仁丹町名表示板発見です。 私も歩けば仁丹町名表示板に当たる。
ろ
「論より証拠」ではありませんが、これを見てください。言っているより証拠写真。

は
「針の穴から天を覗く」ではありませんが、住所表示板の下から仁丹が覗く。

に
「憎まれ子 世にはばかる」新しい住所表示板を憎まれっ子といってしまうのは可愛そうですが、樂會的には憎まれっ子の新しい住所表示板。もしこれがなかったら大礼服のおっちゃんもこんな感じに見えるんですよ。

でも、憎まれっ子がいたおかげで今あると思うと、救いの神に見えてきます。
ほ
「骨折り損のくたびれ儲け」こんなことも多いですが、歩いて回るのって大事ですね!
今年は仁丹樂會で京都市内の仁丹町名表示板の再チェックのため、市内を歩き回ります!
うさん臭く仁丹町名表示板の写真を撮っている人を見たら声をかけてくださいね。
へ
「下手の長談義」仁丹樂會は仁丹町名表示板を愛する者の集まり。
下手かどうかはさて置いて、ひとたび仁丹町名表示板の話に入るや、時間はあったものではありません。話は夜を徹して行われます。いやはや、熱きロマンをかきたてる代物ではあります。
と
「 灯台下暗し」さて、話題を仁丹町名表示板に移しましょう。この看板は職場近くのいつも通っている商店街のはずれの家に、新しい住所表示板の下1センチほど顔を出していました。見つけるには仁丹に精通していないとこういうところで、お目にかかることはできません。またそれを仲間に言ってちやほやされるのも趣味の醍醐味。
みなさんも自宅周辺や職場の近くの意外なところで新たな発見があるかもしれません。
何かありましたら、ご一報を。ちやほやしちゃいますよ。
今年一年、仁丹町名表示板と仁丹樂會を可愛がってくださいね。よろしくお願いします。
~京都仁丹樂會 ゆりかもめ~
2015年01月01日
あけましておめでとうございます
新年、明けまして、おめでとうございます。

今年も京都仁丹樂會をよろしくお願いします。
さて、昨年は、持てる力をすべて研究成果展の準備に費やしました。
ですから、ブログの更新はあまりできませんでしたし、まいまいのガイドも1度しかできませんでした。ある意味、今までに一番活動した年だったにも関わらず、表に出ることがあまりありませんでした。
唯一華々しかったのは、京都景観賞屋外広告物部門において特別表彰を受けたことでしょうか。
今年はまた基本に戻り、様々な研究に勤しみ、保全活動にも邁進したいと考えています。
ブログのネタも尽きているわけではありません。
また、京都の文化財『仁丹町名表示板』の保全活動が市民一丸となった盛り上がりを見せる一年になることも祈っています。
~京都仁丹樂會一同~
2014年07月13日
山伏山の仁丹

今年も祇園祭の時期となりました。
京都のビジネス街、四条烏丸のすぐ近く。
大きなビルやマンションに取り囲まれた一軒の町家が、この時期、『山伏山』として周りに負けないほどの存在感を発揮します。
そして、仁丹町名表示板もこの時ばかりは一緒に晴れ姿を披露しているように見えるのは贔屓目でしょうか?

室町通蛸薬師下ル山伏山町
なるほど納得です。
このエリアでよくぞ残ってくれたと思いますが、残るべきして残った仁丹町名表示板だったのですね。
~京都仁丹樂會 shimo-chan~
2013年04月03日
仁丹のある風景 ~桜~

仁丹町名表示板を探し求めてのまち歩き。
見つけた時は表示板のアップはもちろんのことですが、どのようなシチュエーションで設置されているのか周囲の状況も撮っておきます。
これらは記録をしておきたいという使命感からくる行動です。
でも、たまには気楽に、仁丹がまちの中に溶け込んでいる”仁丹のある風景”を見て歩くのも、実に楽しいものです。
と言うことで、どれだけ続けられるかわかりませんが、そんな光景を時々ご紹介したいと思います。
先ずは桜の季節。桜と仁丹です。
1枚目は木屋町の四条下る、2枚目は木屋町の七条上るです。
これらの他にも桜と一緒に撮影できる場所はあるのでしょうか?
最後は仁丹ではありませんが、鶯を撮ったつもりだったものの、どうも雀のようにも見えます。

京都仁丹樂會 shimo-chan