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2017年09月18日

仁丹樂會リーフレットが図書館の蔵書になりました

 京都仁丹樂會は2012年7月に、仁丹町名表示板(仁丹と略す)の調査・研究ならびに保存活動を紹介するリーフレットを作成し、仁丹を設置されている家屋の皆様にお渡しして、末永く大事に保存されることをお願いするとともに、樂會が主催、協力する各種催しや集会で皆様に紹介して、保存の啓蒙に努めてきました。
 その後、民泊・ゲストハウスの需給沸騰で町屋の改修等が急速に進み、また、仁丹がネットオークションで取引の好対象になったり、さらに残念なことに、盗難、廃棄の増加も相まって、市中の現存仁丹の減少が目立つようになってきました。
 そこで4年後の2016年3月に、状況確認のため、會員全員が市中をくまなく歩いて、現存(=今も家屋に設置されているもの)、埋蔵(=取り付けはされていないが、屋内に保管されているもの)、ならびに消滅(=以前に取り付けしてあったが、現在は不明、消失)した仁丹を1枚1枚調査し、その結果を2016年8月にリーフレットの改訂版(本書と略す)として発行しました。本書はA5版4ページ。旧版の仁丹の歴史背景、樂會活動を全面改訂し、さらに仁丹の種類、設置確認範囲と行政区別枚数(現存数は約680枚。現存数、埋蔵数、消滅数の合計数は約1,400枚)などの今回の新たな調査結果が追記されたことで、学術的な価値が高まったものになりました。

2016年8月発行改訂版:表紙(右)と4ページ(左)仁丹樂會リーフレットが図書館の蔵書になりました

2ページ(左)と3ページ(右)仁丹樂會リーフレットが図書館の蔵書になりました


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 本書は発刊後に、一部は會員を通じて関係各所に配布されましたが、そのような単にリーフレットとして随所で散発的に露出する、ということでは広く市民の目には届きません。そこで、市民の方にいつでも閲覧できるような京都資料、調査資料として活用していただくため、2017年5月、京都市立中央図書館に同主旨を相談したところ、「大変貴重な京都の調査資料である。図書館として保存したい」との回答をいただきました。図書館で蔵書保存するには、寄贈申し込みをして、館内で可否決定と決裁手続きが必要なため、早速、蔵書寄贈手続きを進めました。 手続きをしたのは、京都市立図書館(移動図書館、こどもみらい館を除く)18館と京都府立図書館、京都府立京都学・歴彩館の計20館です。京都市関係は、京都市立中央図書館が18館分の寄贈をまとめて受付をし、各館には京都市立中央図書館から配送していただきました。ただし、各館が蔵書化するかどうかは、各館の独自性に委ねるとのことでした。
 各館への配送、および各館での採否審議が進んだころを見計らい、本年7月から市内20館それぞれに直接出向いて寄贈担当者に資料の重要性を再説明し、保存資料化を改めて依頼しました。
 その結果、9月15日現在、以下の12館で蔵書化され、閲覧が可能になっています。
1 京都市立中央図書館
2 伏見中央図書館
3 右京中央図書館
4 醍醐中央図書館
5 北図書館
6 南図書館
7 西京図書館
8 洛西図書館
9 醍醐図書館
10 岩倉図書館
11 下京図書館
12 京都府立京都学・歴彩館


 市立図書館は他の7館でも現在、決裁手続きを進行中で、NDC分類(=日本十進分類)と請求番号付けが終了次第、随時、閲覧可能となる予定です。京都府立京都学・歴彩館では、旧版(2012年版)がすでに入庫されている関係で、現在、旧版と本書が並架されています。府立図書館では寄贈書が山積している関係で、処理の順番待ちで年内の所蔵化はむずかしいようです。

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 実は、本書の図書館での書名は『仁丹の町名表示板は、今や京都の立派な「文化財」です。これからも大切にしましょう』と、表紙の一部がそのまま書名になった大変長いものです。しかし、図書館での蔵書検索時の入力は、タイトル(書名)は「じんたん」、著者は「きょうと」で充分です。蔵書には当然ながら、「本のラベル(請求番号)」が付いています。この番号は、NDC分類に基づいていて貼付され、本を並べる際の書架分類になっています。ちなみに本書の請求番号は京都市立図書館では「L 291.62 ジ」、京都府立京都学・歴彩館では「K1 624.9 Ky6」となっています。何が違うのでしょうか。

 京都市立図書館のラベルは、仁丹樂會リーフレットが図書館の蔵書になりました
これは、本書は「歴史・地誌に関するもので、京都に関することを書かれた“ジ”から始まる本」、ということを示しています。実に素直な分類です。

 一方、京都府立京都学・歴彩館のラベルは、仁丹樂會リーフレットが図書館の蔵書になりました
 すなわち、本書は「商業広告や宣伝の中にある、企業の商品や広告に関する書き物」、と分類され、本書の内容とはまったく関係のない解釈がなされています。市立図書館のものとはおよそ別物です。図書館によって本書に対する理解度がいかに違うものか、NDC分類からわかるというのは面白い発見です。
どうぞ、お近くの図書館で、いつでも手にとってご覧ください。
masajin


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Posted by 京都仁丹樂會 at 01:46│Comments(2)トピックニュース
この記事へのコメント
グーグルのストリートビューで見つかるかやってみたら、結構見つかって、うれしいです。 eiji
Posted by guildguild at 2017年10月03日 23:40
最近仁丹の町名案内を知り、リーフレットを拝読しました。

散歩しながら見つけると、家族に報告し合ったりして楽しんでいます。

先日、伏見区を歩いて見たのですが、郵便局のものと取り換えられたのか見つけられませんでした。
古い歴史があるからこそ、ますます貴重な文化財になると思いますね。
Posted by JOY at 2018年11月27日 16:00
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