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2023年01月01日

昨年を振り返って

あけまして、おめでとうございます。

昨年を振り返って


京都仁丹樂會が活動を始めて、今年で13年を迎えます。思えば、最初は雲を掴むような謎多き仁丹町名表示板でしたが、次第にその全貌が見えて来たかと思います。ひとりではけして達成できなかったことでした。新たに判明したことはその都度、このブログで発表してきましたが、今年は分り易くまとめ直す必要があるかと考えています。

昨年を振り返って

さて、昨年を振り返ると、最も大きな出来事は東京で木製仁丹が発見されたことでしょう。
次のブログ、
東京あるけあるけhttp://tokyoarukearuke.blog68.fc2.com
歩・探・見・感」 https://citywalk2020.hatenablog.com/archive
の主宰者さんから、相次いで“もしかして”という情報が寄せられ、当會メンバーも現地を訪れ、大正7~9年に9万枚設置された中の1枚であろうと確認しました。さらにその設置家屋の方のご理解とご協力が得られ、森下仁丹株式会社さんへの寄贈と保存へと繋がっていきました。

詳しくは、次の当ブログ記事をご覧ください。
2022年6月10日 東京の木製仁丹 保存へ https://jintan.kyo2.jp/e572055.html
2022年8月 1日 東京の木製仁丹 寄贈へ https://jintan.kyo2.jp/e573362.html

折しも、今年は森下仁丹株式会社さんの創業130周年、まさにその節目に、あの大礼服の髭のおじさまが目を覚まして、私たちを突き動かしたかのような不思議な出来事でした。

このことは、“9万分の1の奇跡”として、京都新聞や朝日新聞でも紹介されました。
京都新聞 2022.7.27夕刊
朝日新聞 2022.12.4デジタル版、2022.12.13朝刊京都版、2022.12.17朝刊滋賀版

昨年を振り返って

この9万枚は設置間もない大正12年の関東大震災で、多くが焼失してしまいましたが、すぐさま再設置された様子が、震災2年後の雑誌に次のように紹介されています。

人々は今尚記憶して居られるであらう。あの広い東京が見渡す限り一面の焦土と化し終つた当時。焼け跡を尋ねるに町名の見当が更らに附かず、如何に多くの人々が困惑したかと云ふ事実を。……  ところが、焦土の余熱も去らぬ日、早くも「仁丹」の商標を入れた町名札が元の如く焼け跡に立てられたと云ふ事実を気附かなかつたものもあるまい。あの仁丹の町名札のため当時の東京人がどれだけ便宜を受けたかは実に測り知られぬものがある。現在でも東京の街を歩るけば到る処の町角に矢張り仁丹の町名番地札が貼られてあつて、親切に吾れ吾れに道を教へてくれる。
~『事業と広告』大正14年8月号 一記者「広告を透して見たる事業界盛衰記(其二)仁丹と森下博の巻」より~

これこそ、およそ100年近く前になされた、創業者森下博氏のモットー「広告益世」の最たるものでしょう。

昨年を振り返って

実は昨年11月、今もこの「広告益世」が生きていることを森下仁丹の社員さん達は目の当たりにされました。森下仁丹健康保険組合さんのウォーキングツアーに私たち京都仁丹樂會がガイドとして招かれ、6つのグループに分かれて、観光地ではない素の京都のまちを仁丹町名表示板を探しながらウォーキングを楽しみました。そこで、今現在も現役で役に立っていること、京都市民に大切にされ愛されていること、いまだ色褪せず美しさを保っている品質の良さなどに大いに感銘を受けられたのです。最初は何となく知っている、レトロなので人気があるようだ、ぐらいの思いで参加された方もおられたようですが、実際に見て、私たちの説明も加わって、創業者の「広告益世」や「原料の精選を生命とし、優良品の製造販売」なるモットーの正しさを強く再認識され、大いに驚かれていました。私たちも予想以上の反応の良さに驚き、やはり京都の立派な文化財なんだと堂々と胸を張れる思いを強めました。

昨年を振り返って


昨年を振り返って

これらの他には、2月に京都府立京都学・歴彩館にて、新・京都学講座「~京都のまちかどの近代史~仁丹町名表示板の謎を追う」なる講演会を行いました。コロナ禍での入場制限があり、希望者全員の参加が叶いませんでしたが、これもまた好評をいただきました。
その様子は、次の記事をご覧ください。
2022年2月18日 歴彩館の講演会 https://jintan.kyo2.jp/e569170.html

昨年を振り返って

そして、4年ぶりにローラー作戦を行いました。これは前回の調査で現存確認していたものが、引き続き存在しているかを手分けをしてすべてチェックする作業です。この4年間に76枚減の545枚現存という結果を得ました。
詳しくは、次の記事をご覧ください。
2022年6月8日 現存枚数、ただ今545枚!https://jintan.kyo2.jp/e571989.html

このローラー作戦については、朝日新聞さんの取材を受け、京都版の「古都ぶら」のコーナーで5月6日から連続3回で紹介していただきました。

朝日新聞京都版「古都ぶら」
2022.5.6  “ひげの男性”の看板を追う(上)京に残る仁丹の表示板
2022.5.7  “ひげの男性”の看板を追う(中)我が子同然 本来の場所へ
2022.5.8  “ひげの男性”の看板を追う(下)「奇跡の1枚」東京に木板
2022.6.17 デジタル版 仁丹の「ひげ男性」、町名伝えて100年以上 「広告王」の狙いとは

昨年を振り返って

また、白川書院さんの「月刊京都」にも協力させていただき、次の2号に関連記事が見開きであります。
2022年2月号 仁丹町名表示板を巡るまち歩き -住所の読み方の不思議を読み解く-
2022年9月号 京のまちの文化財 仁丹町名表示板 -次代へ守り継ぎたい、京の道案内-

昨年を振り返って


以上、ざっと昨年一年間を振り返ってみました。今年は、謎解きの確度を高めるための資料探しを継続しつつ、様々な活動もしなくてはと思っています。そして、どのような展開を迎えるのか楽しみです。

~京都仁丹樂會~



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Posted by 京都仁丹樂會 at 19:25│Comments(2)インフォメーション
この記事へのコメント
明けましておめでとうございます。
今年も頑張ってください。
けん
Posted by guildguild at 2023年01月01日 20:09
けんさん、ありがとうございます!
Posted by 京都仁丹樂會京都仁丹樂會 at 2023年01月01日 23:53
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